金属アレルギーとインプラント!治療は受けられるのか詳しく解説!

歯のコラム 2024年04月17日(水)

こんにちは。千葉県野田市にある歯医者「R歯科・矯正歯科クリニック」です。

金属アレルギーがあると、インプラント治療を受けるのは難しいと考える方が多いでしょう。インプラント治療では、体内に人工歯根を埋め込んで連結部を装着して、その上に人工歯を装着します。どのパーツにも金属が使用されているので、不安に思う方もいるのではないでしょうか。

しかし、どの金属にアレルギーがあるのかを検査し、アレルギーが出ないものを選択することで治療が可能になるケースも多いです。

この記事では、金属アレルギーの症状や、金属アレルギーの疑いがある方が治療を受ける際の注意点について詳しく解説していきます。

金属アレルギーでもインプラント治療は受けられる?

金属アレルギーがある場合、インプラント治療を受けることは難しいのでしょうか。結論から言うと、金属アレルギーの方でもインプラント治療を受けられるケースがほとんどです。

インプラントで使用されるチタンという金属は、空気中の酸素と結びつき被膜を形成します。このため、イオン化して汗や唾液に溶け出しにくくアレルギーを発症しにくいといわれています。チタンアレルギーでなければ、インプラント治療を受けられると考えて良いでしょう。

しかし、チタン以外の金属アレルギーの場合でも、事前に歯科医師に相談して使用する素材に注意する必要があります。インプラントで使用される金属には、チタンの純度が低いものや混合物が多く含まれるものもあります。

チタンにアレルギーが出る方は少ないですが、インプラント治療で金属アレルギーの症状が出る可能性はゼロではないことを知っておきましょう。

金属アレルギーの症状とは?

金属アレルギーとは、汗や唾液で金属が溶けて金属イオンとなり、体内に入ることでアレルギー反応が引き起こされる状態です。

金属アレルギーは遅延型アレルギーであり、金属に触れた後1〜2日経過後に症状が現れることが多いです。すぐに症状が出るわけではないので、金属が原因だと気づかないケースもあります。

数年後に初めて症状が出るケースもあり、インプラント治療前に金属アレルギーがなかった方でも金属アレルギーを発症する可能性があることを知っておきましょう。

一般的によく知られる金属アレルギーの症状は、ネックレスやピアスなどの金属を含むアクセサリーを身に着けたときに起こる、かぶれやかゆみが挙げられます。このような症状が出た場合、金属アレルギーの可能性が高いでしょう。

ここではさらに、インプラント治療を受けた時に起こる可能性のある金属アレルギーの症状について解説します。

口の粘膜の炎症やただれ

インプラントで使用した金属に触れている口の中の粘膜が、炎症を起こして赤くなったり腫れたりすることがあります。症状が悪化するとただれて痛みを引き起こすことがあるため、異常を感じたらすぐに歯科クリニックに相談しましょう。

また、口内炎ができやすくなったり、唇や口角の炎症を引き起こしたりすることもあります。いつもより症状が強い場合や長引く場合は、早めに受診するようにしましょう。

口腔扁平苔癬

口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)とは、口の粘膜の新陳代謝が乱れて角質が分厚くなり、頬の粘膜に白いレース状の病変が見られる疾患です。皮膚の異変だけで自覚症状がないこともありますが、突っ張ったり違和感があったり、食事や会話での際に痛みを感じたりします。

口腔扁平苔癬は40歳以降の女性に多く見られ、はっきりとした原因は解明されていませんが金属アレルギーとの関連が示唆されているため注意が必要です。

全身の皮膚炎・湿疹

インプラントによる金属アレルギーの症状は、口の中にとどまらないこともあります。全身の皮膚に炎症や湿疹が出るなど、体や顔の様々な部位に発疹やかゆみがあらわれるため、インプラントが原因だと気づかないことがあるでしょう。

掌蹠膿疱症

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)になると、手のひらや足の裏に水ぶくれや膿を含んだブツブツが現れます。この水疱や膿疱のできはじめにかゆみが出ることが多く、かさぶたとなって剥がれ落ちたり、炎症で赤くなったりすることがあります。

人に感染させてしまうことを心配される方がいますが、膿の中には菌が入っていないため人に感染することはありません。

金属アレルギーの疑いがある方がインプラント治療を受けるときは

金属アレルギーの疑いがある方は、治療前に注意すべきことがあります。アレルギー反応が出るのを防ぐために、インプラント治療前にできるだけ対策をすることが大切です。

ここでは、金属アレルギーの疑いがある方が、インプラント治療を受ける前にできる対策を解説します。

事前に歯科医師に相談する

インプラント治療の検査や説明を受けるとき、金属アレルギーが疑われる症状が出たことを必ず歯科医師に申し出てください。

「症状が軽いから」「金属が原因かどうかはっきりしないから」といって金属アレルギーであることを申告しないと、後でアレルギー反応が出てせっかく埋め込んだインプラントを取り除くことになりかねません。必ず歯科医師に申し出てアレルギー検査を受けましょう。

場合によっては別の治療法を選択することも必要です。

アレルギー検査を受ける

金属アレルギーの疑いがある方は、治療を始める前にアレルギー検査を受けましょう。アレルギー検査には、パッチテストや血液検査をする方法がありますが、一般的に用いられているのはパッチテストです。

パッチテストは、金属試薬を含ませたパッチを2日間貼り、2日後にパッチを剥がして皮膚にあらわれた反応を見る検査です。パッチテスト中はアレルギー反応を抑える薬を服用しないよう注意しましょう。

入浴や運動の制限もあるため、医師の指示にしたがってください。パッチテストでチタンに対するアレルギーがないことがわかれば、インプラント治療を受けることができます。

チタンアレルギーであった場合、非金属製の素材やインプラント以外の治療法を検討する必要があるでしょう。

使用する素材に注意する

インプラント治療で歯根部に使用される金属は基本的にチタンですが、強度を保つためにチタン以外のニッケル、クロムなどの金属を含んでいるものも多くあります。チタン以外の金属の割合はわずかで、金属アレルギーを引き起こす可能性が低いといわれています。

しかし、可能性はゼロではありません。対策として、他の金属の割合をできるだけ減らした純度の高いチタンを使用するか、ジルコニアというセラミックの一種(非金属)を使用する選択肢があります。

ジルコニアインプラントは金属アレルギーの可能性を排除できる一方で、チタンインプラントに比べて高額になる点がデメリットです。また、歯根部だけでなく連結部や歯冠部に使用する素材をセラミックやジルコニアにすることも検討しましょう。

インプラント治療後に金属アレルギーの症状が出たときの対処法

インプラント治療後に金属アレルギーの症状が出たときに最も大切なことは、自己判断はせずに医療機関を受診することです。アレルギー反応を放置することで改善する可能性は低く、重篤な症状に進むのを防ぐため、すぐに原因を特定し除去しなければなりません。

金属アレルギーの症状を疑い医療機関を受診した場合、最初にパッチテストでアレルギーの原因を特定します。検査の結果インプラントが原因と判断された場合は、インプラントを取り除く必要があります。

インプラントを取り除くと、金属を使用しない方法で失った歯を補う治療を行います。具体的にはブリッジや入れ歯(義歯)を使用することになるでしょう。

インプラント治療後に金属アレルギーになった場合は別ですが、金属アレルギーが疑われる症状がある方は必ず治療前に歯科医師に相談してください。

まとめ

今回は、金属アレルギーとインプラント治療について解説しました。金属アレルギーの疑いがある方でも、事前に歯科医師に相談してパッチテストを受けることで、より安全にインプラント治療を受けることができます。

さらに使用する金属を純度の高いチタンにしたり、非金属製の装置を選択したりすることで金属アレルギー発症の可能性を低くすることが可能です。歯科医師と相談しながら、安全性や費用のバランスを考えて、自分に合った治療方法を選択しましょう。

インプラントを検討されている方は、千葉県野田市にある歯医者「R歯科・矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。