MFT(口腔筋機能療法)とは?必要となるケースやトレーニング方法

歯のコラム 2024年12月18日(水)

こんにちは。千葉県野田市にある歯医者「R歯科・矯正歯科クリニック」です。

MFT(口腔筋機能療法)とは?必要となるケースやトレーニング方法の説明を受ける患者

MFT(口腔筋機能療法)は、噛み合わせや歯並びの改善だけでなく、口腔内の健康全般に寄与する治療法です。舌や唇、頬の筋肉を整えることで、歯並びに影響を及ぼす口呼吸などの習慣を改善し、矯正治療の効果を最大化します。

本記事では、MFTの基本的な内容や必要とされるケース、メリット・デメリット、具体的なトレーニング方法について詳しく解説します。歯科治療を考えている方や、お子様の口腔機能改善を検討中の方は、ぜひご覧ください。

MFT(口腔筋機能療法)とは

MFT(口腔筋機能療法)とは何かを説明する歯科衛生士

MFT(口腔筋機能療法)とは、口の周辺にある筋肉をトレーニングすることです。この治療法は、舌や唇、頬などの口腔周囲筋の機能を整えることを目的としています。

特に、正しい舌の位置や唇の動きを習得することで、歯や顎にかかる力のバランスを整え、口腔内の健康を維持する役割を果たします。

口腔周囲筋の機能が乱れると、口が開きっぱなしになったり、舌が前方へ押し出されたりすることがあります。このような状態は、歯に不適切な力が加わる原因となり、歯並びを悪化させることがあります。

さらに、このような癖を改善しないまま矯正治療を行うと、治療終了後に再び歯が元の位置に戻るリスクも高まります。そのため、MFTは矯正治療を成功させるための重要なステップとして位置付けられています。

また、MFTによって正しい舌の位置や唇の動きを習得することで、食事や発音、呼吸などの口腔機能全般の改善にも寄与します。これにより、鼻呼吸が促進されるなど、全身の健康にも良い影響を与えるとされています。

歯並び改善と健康維持の両面で有効なトレーニングとして、MFTは多くの場面で活用されています。

MFTが必要となるケース

MFT(口腔筋機能療法)が必要となるケースとして指しゃぶりをする子供

MFTが必要となるケースは、以下の通りです。

舌突出癖や異常嚥下癖がある場合

舌突出癖や異常嚥下癖があると、歯並びに影響を及ぼすことがあります。

たとえば、舌を前に突き出す癖があると、歯が前に出たり、上下の前歯が噛み合わなくなったりすることがあります。このような場合、前歯でものを噛み切るのが難しくなることもあるため、早期の対応が重要です。

また、矯正治療の進行が遅れたり、治療後に歯並びが不安定になったりするリスクも考えられます。こうした問題には、MFTを活用することが有効です。舌の正しい位置や飲み込み方を習得し、筋肉トレーニングを行うことで、歯並びが改善するケースがあります。

指しゃぶりや口呼吸などの悪習癖がある場合

幼少期に指しゃぶりや口呼吸、偏った咀嚼習慣が続くと、歯や口腔機能にさまざまな悪影響を及ぼします。

指しゃぶりを4歳になってからも続けると、歯並びや舌の動きに異常が現れる可能性があり、不正咬合の原因になります。また、口呼吸は、上顎の発育不良や歯並びの乱れを招くだけでなく、口腔内が乾燥し、虫歯や歯周病になるリスクも高まります。

これらの悪習癖に対してもMFTは効果的で、習慣の改善に加え、口腔周囲の筋肉を正しく使えるようトレーニングを行うことが推奨されます。

舌小帯の異常がある場合

舌の下にある舌小帯が短すぎたり、硬直したりしている場合、舌を自由に動かせず、前方に突き出す癖がつくことがあります。このような場合には、MFTを通じて正しい飲み込み方や舌の使い方を習得する必要があります。

こうした取り組みによって、舌小帯の問題を克服し、歯列への悪影響を軽減することが期待できます。

矯正治療や外科的矯正治療を受ける場合

矯正治療や外科的矯正治療を受ける際にも、MFTは非常に重要です。矯正によって歯列や噛み合わせが大きく変化する際には、新しい噛み合わせに舌や筋肉が適応できるようにすることが求められます。

特に、外科手術を伴う矯正治療の場合、舌や筋肉のバランスを整えることで、長期的な歯列の安定を確保することが可能です。

MFTのメリット・デメリット

MFT(口腔筋機能療法)のメリット・デメリットイメージ

ここでは、MFTを受けることで得られるメリットとデメリットについて解説します。

MFTのメリット

MFTで得られるメリットは、主に以下のとおりです。

矯正治療の効果が高まる

MFTを取り入れることで、口腔内の筋肉がバランスよく機能し、歯並びや噛み合わせの矯正がスムーズに進みます。筋肉の力が適切に作用するため、矯正装置の働きが最大化され、治療期間の短縮や結果の安定化が期待できます。

口呼吸から鼻呼吸に改善できる

舌や唇の使い方を正すことで、口呼吸を鼻呼吸へと改善できます。これにより、口腔内の乾燥を防ぎ、虫歯や口臭のリスクを軽減します。加えて、鼻呼吸は全身の酸素供給を効率的に行えるため、全身の健康にもよい影響を与えます。

発音や表情筋へのプラス効果が期待できる

舌や口腔筋の機能を高めることで発音が明瞭になります。また、表情筋も鍛えられるため、自然な笑顔を作りやすくなり、顔の印象が若々しく引き締まります。これにより、人とのコミュニケーションにも自信が持てるようになるでしょう。

全身の健康によい影響を与える

MFTを通じて正しい舌や顎の使い方を習得することで、食事の際の動作がスムーズになり、見た目にも美しい所作が身につきます。また、適切な咀嚼は消化を助けるため、体全体の健康にも良い影響を与えます。

顎や歯の発育を促進できる

幼少期からMFTを行うことで、正しい顎や歯の発育を促進できます。結果として、歯並びが整いやすくなり、将来的な矯正治療の必要性を減らすことが期待されます。

MFTのデメリット

MFTを受けることで生じるデメリットは、以下のとおりです。

効果が現れるまで時間がかかる

MFTは継続的に取り組むことで効果を発揮する治療法です。数回のトレーニングで目に見える成果が得られるわけではありません。特に子どもの場合は、保護者の方のサポートやモチベーションの維持が求められます。

矯正治療の代替にはならない

MFTは矯正治療を補助するものであり、歯並びや噛み合わせの改善を完全にカバーする治療法ではありません。場合によっては、矯正装置などの併用が必要です。

費用がかかる

MFTは、一部の症例を除いて保険が適用されません。そのため、治療に対する費用負担を考慮する必要があります。

MFTのトレーニング方法

MFT(口腔筋機能療法)のトレーニング方法を説明する歯科医師

MFTは、舌や唇、口の周辺にある筋肉を正しい位置や動きへと導くトレーニング方法です。主に以下のような方法があります。それぞれの特徴を理解しながら取り組むことで、効果的な改善が期待できます。

スポットポジション

スポットポジションは、正しい舌の位置を覚えるための基本トレーニングです。上の前歯の裏側にある少し膨らんだ部分(スポット)をスティックや指先で触り、舌がその位置に正確に触れるよう確認します。

その後、スティックを取り除き、口を開けたまま舌先をスポットに付けて5秒間キープします。この練習を繰り返すことで、舌を正しい位置に保つ習慣が身につきます。

ポッピング

ポッピングは、舌全体を上顎に吸い上げる練習を通じて、舌の筋肉を鍛える方法です。舌先をスポットに置き、舌全体を上顎に押し付けます。その後、口を大きく開け、勢いよく舌を離してポンと音を立てます。

この動作を繰り返すことで、舌を持ち上げる力が強化され、舌小帯(舌の裏側にあるヒダ)の柔軟性も向上します。

ポスチャー

ポスチャーは、舌と唇が正しい位置にあることを維持するトレーニングです。舌先をスポットに置き、舌全体を上顎に吸い付けた状態をキープします。このとき、ストローを犬歯のうしろに軽く噛むように置きます。

唇を閉じた状態でストローを固定しながら練習することで、唇と舌のバランスを改善します。

ボタンプル

ボタンプルは、ボタンと紐を使った方法で、口唇の筋肉を鍛えるトレーニングです。ボタンに長めの紐を通し、前歯と唇の間にボタンを挟んで軽く閉じます。紐を外に引っ張り、ボタンが落ちないよう唇をしっかりと閉じて力を入れます。

この練習を繰り返すことで、唇の筋力が向上し、出っ歯などの予防にもつながります。

スラープ&スワロー

スラープ&スワローは、正しい嚥下(飲み込む動作)を身につけるためのトレーニングです。舌先をスポットに置き、舌全体を上顎に吸い上げます。その状態で、犬歯のうしろにストローを置き、舌の裏に当てます。次に、口を開けたまま水を飲み込む動作を練習します。

この動きによって、正しい嚥下の仕方を習得し、飲み込み時の舌の位置や動きの改善が期待できます。

MFTにかかる費用

MFT(口腔筋機能療法)にかかる費用イメージ

MFTの費用は、一般的に1回あたり3,000円〜1万円程度が相場とされています。

ただし、この料金は通う歯科医院によって異なるため、初回診察時に詳細を確認してください。また、トレーニング費用のほかに、診断や検査の料金が別途必要になる場合もあります。

保険適用について

MFTの費用が保険適用となるケースは限られています。具体的には、口腔機能発達不全症と診断された場合のみ適用され、それ以外では基本的に自由診療として扱われます。そのため、保険が適用されない場合は全額自己負担となります。

まとめ

MFT(口腔筋機能療法)の受診をし笑顔になる親子

MFTとは、歯並びや噛み合わせだけでなく、口腔内の健康全般にアプローチする治療法です。

舌や唇、頬の筋肉の機能を改善することで、不正咬合や口呼吸などの問題を根本から解決し、矯正治療の効果を高めるサポートをします。また、習慣的なトレーニングを通じて、健康的な口腔環境の維持が期待できます。

MFTは子どもから大人まで幅広い年齢層に適応可能で、早期の取り組みが効果的です。歯科医師に相談し、ご自身に合ったトレーニング方法を選ぶことが大切です。日常生活のなかでの意識的な取り組みが、より良い結果につながるでしょう。

MFT(口腔筋機能療法)を検討されている方は、千葉県野田市にある歯医者「R歯科・矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。

当院は、インプラント治療やマウスピース矯正(インビザライン)、小児歯科、ホワイトニングなど、さまざまな治療に力を入れています。ホームページはこちらWeb診療予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。