急速拡大装置のメリットとデメリット!床矯正との違いや使用時の注意点

歯のコラム 2024年11月20日(水)

こんにちは。千葉県野田市にある歯医者「R歯科・矯正歯科クリニック」です。

急速拡大装置を装着しようとしている人

急速拡大装置とは、上顎の幅を広げるために使用される矯正装置のことです。「急速拡大装置ってどんなもの?」「何をするための治療?」と、詳しいことまではご存じでない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、急速拡大装置の特徴や効果、メリット・デメリットについて詳しく解説します。治療を受ける際の注意点などもご紹介するので、急速拡大装置について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

急速拡大装置とは

急速拡大装置のイメージ

ここでは、急速拡大装置はどのような目的で使用し、どのような仕組みで治療を進めるのかについて解説します。

急速拡大装置の役割

急速拡大装置とは、上顎の幅を広げてスペースを作る装置です。上あごが小さいことで歯が適切な位置に並ぶスペースが不足し、重なって生えたりきれいに噛み合わなかったりする場合などに用いられます。

固定式の装置なので骨を動かす力がかかりやすく、短期間で効果的にスペースを作ることが可能です。

急速拡大装置は、乳歯と永久歯が混在する6歳から12歳頃の成長期に多く使用されます。将来的な歯列の乱れを防ぎ、正しく永久歯が生えてくるよう顎の幅を広げて土台作りをするのが目的です。

骨の柔軟性が高く動かしやすい時期に治療を行うことで、効率的にあごの骨を拡大できます。成人の治療でも用いることがありますが、成長に伴い骨が硬くなるため広げるのが難しくなり、治療スピードは遅くなるでしょう。

急速拡大装置の仕組み

急速拡大装置は、中央についた拡大ネジを回すと少しずつ装置が広がります。歯に装着した装置が広がることで、上あごの中央にある正中口蓋縫合という骨の合わせ目がゆっくり広がり、できた隙間に新しい骨組織が形成されます。

これにより、あごの幅が広がり、適切な位置に歯が並ぶスペースが確保できるという仕組みです。

急速拡大装置のメリットとデメリット

急速拡大装置のメリットとデメリットイメージ

ここでは、急速拡大装置を使用するうえでの、メリットとデメリットについて解説します。

急速拡大装置のメリット

急速拡大装置のメリットは、以下のとおりです。

治療効果が早くでる

急速拡大装置は、治療期間が短いことが最大のメリットです。治療期間は患者様によって異なりますが、一般的には数週間から半年程度で上あごを拡張できます。

抜歯の可能性を減らせる

抜歯の可能性を減らせるのも、急速拡大装置を使用するメリットに挙げられます。成人になってから行う歯列矯正では、歯を並べるスペースが不足している場合、永久歯を抜歯するのが一般的です。

成長期に顎の幅を広げておくことで、将来スペースを作るための抜歯を回避できる可能性が高まるのです。

口呼吸の改善が期待できる

急速拡大装置で上あごを広げると鼻腔も広がり、口呼吸の改善が期待できます。鼻呼吸が促進されると口内が乾燥しにくくなるため、虫歯や歯周病の予防にも効果的です。

また、睡眠時にも呼吸しやすくなるため、いびきや無呼吸症候群の予防にも役立つとされています。

急速拡大装置のデメリット

急速拡大装置のデメリットは、以下のとおりです。

不快感や痛みが伴う可能性がある

装置を装着すると口内に異物感が生じ、食べ物を飲み込みにくくなったり、発音しにくくなったりすることがあります。また、骨が拡張される際に圧迫感や痛みを感じることがあるため、特に調整直後は不快感が強まる可能性が高いでしょう。

固定式で取り外しができない

装置は取り外しができないため、食事などの日常生活に制限が生じます。破損や損傷を防ぐために、硬い食べ物や粘着性の高い食べ物を避ける必要があり、歯磨きなどのセルフケアもしにくくなるでしょう。

目立つことがある

急速拡大装置は顎部分に取り付けて固定するため、装置が目立つことがあります。特に大きく口を開ける場面では、装置が見えやすいでしょう。

急速拡大装置と床矯正の違い

急速拡大装置と床矯正の違いイメージ

床矯正は急速拡大装置と同様に、顎を広げることを目的とした矯正装置です。

しかし、装着方法や動かす対象など、さまざまな違いがあります。

床矯正は、マウスピースにネジやワイヤーなどが埋め込まれた装置を使って治療を行います。装置に埋め込まれた拡大ネジを少しずつ広げて、歯が並ぶアーチをゆっくりと広げます。その後、バネで内側に入り込んだ歯を外側に押し、歯列を広げる仕組みです。

固定式の急速拡大装置と異なり、床矯正は患者様ご自身で装置の取り外しが可能です。そのため、食事や歯磨きの際には外して普段どおりに行うことができ、衛生管理がしやすいというメリットがあります。

ただし、効果が出るまで時間がかかることや、取り外し式のため装着を怠ると十分な治療効果が得られない点は、デメリットと言えるでしょう。また、急速拡大装置は上あごの骨を広げる装置なので下顎には対応できませんが、床矯正は上下の歯列の拡大に対応可能です。

急速拡大装置と床矯正は併用することも珍しくありません。例えば、急速拡大装置で上あごの幅を広げた後、床矯正でさらに細かい調整を行うことで、より効果的な治療が可能になります。

上下の歯列のバランスを整えて最終的な歯並びをより良くできますが、床矯正も歯列の幅を広げて歯が並ぶスペースを作ることが主な機能です。細かい歯並びの調整や、歯を適切な位置まで大きく動かすことはできません。

急速拡大装置や床矯正で歯が並ぶ土台作りやおおまかな歯並びの調整をしておき、永久歯が生えそろってから改めて歯並びを調整することもあります。その際は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正が主な選択肢となるでしょう。

急速拡大装置を使用するときの注意点

歯磨きする子供

治療を受ける際には、以下の点に注意しましょう。

セルフケアを丁寧に行う

急速拡大装置は固定式のため、装置を取り外して食事や歯磨きができません。装置の周辺に食べかすがたまりやすく、歯磨きがしにくくなります。

そのため、毎食後の歯磨きの際には、ご自身の歯だけでなく装置の周辺も丁寧に磨きましょう。磨き残しにより虫歯になった場合には、矯正治療を中断し虫歯の治療を行う必要があります。

特に、お子さまの場合は自分で丁寧に磨くのは難しいことも多いので、保護者の方が仕上げ磨きを丁寧に行ってあげてください。

痛みが続く時は歯科医師に相談する

治療中に痛みや不快感が長引く場合は、無理をせず歯科医師に相談しましょう。装置を装着した直後や調整後は違和感が出ることもありますが、痛みが続く場合には何らかの問題が起こっている可能性があります。

そのため、そのまま放置せず、歯科医院を受診して適切なケアを受けましょう。

歯科医師の指示に従う

急速拡大装置は定期的にネジを回して調整する必要があります。歯科医師の指示に従い、適切なタイミングで調整を行いましょう。

ネジを回すのを忘れた場合、顎の骨に適切な力がかからなくなり、治療計画にズレが生じることもあるので注意が必要です。

また、効果を最大限に引き出すためには定期的に通院し、装置の確認や進捗に応じた調整、清掃などを受けることも重要です。定期的に確認してもらうことで、トラブルを早期に発見・対処できます。

まとめ

急速拡大装置で歯並びが良くなり笑顔で食事をする子供

急速拡大装置は、短期間で上あごの幅を広げることで、歯並びの改善を図る効果的な治療法です。特に成長期のお子さまに多く使用され、スペースを確保することで将来の抜歯のリスクを低減したり口呼吸を改善したりする効果も期待できます。

しかし、不快感や痛み、取り外しができないことによる生活への影響がある点にも考慮が必要です。

治療を受ける際には、急速拡大装置の特徴についてしっかり理解したうえで歯科医師の指示に従いましょう。そうすることで、装置の効果を最大限に引き出せます。

急速拡大装置を検討されている方は、千葉県野田市にある歯医者「R歯科・矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。

当院は、インプラント治療やマウスピース矯正(インビザライン)、小児歯科、ホワイトニングなど、さまざまな治療に力を入れています。ホームページはこちらWeb診療予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。